雑記帳

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声に出して『声に出して読みたい日本語』を読んだ。

声に出して読みたい日本語

声に出して読みたい日本語

 数年前にちょっとしたブームになった本。

「声に出して、味わう。」

そんなシンプルなことにこだわった本書からは、確かに儚くも力強くもある日本語の力が伝わってくる。

 

基本的には、諳誦・朗誦することをねらいに編んだ本だそうで、リズムのよい文章が多い。

以下は私のお気に入りだ。

 もちろん、これらの作品は声に出さなくても十分に凄い。

でも、声に出すことで新たな一面が見えるのも確かだ。

 

 

感想

  私は音読があまり好きでは無かった。原因は国語の授業だ。みんな一斉に変な間延びした声で読む授業では、平家物語奥の細道も台無しだ。そんなものはこれっぽちも魅力を感じないし、つまらない。先生が努力してくれているのはわかるが、そんな授業は最悪だ。

 

 そんな中、図書館の片隅で出会ったこの本に、私は心を奪われた。心地良いリズムがページをめくるごとに体に染みこみ、国語の授業で失った「声に出すこと」の魅力を再び蘇らせてくれた。

 

 しかし、この本の基本である「声に出して読む。」このことは案外難しい。家族に聞かれるのは何となく恥ずかしいし、クラスメイトにはドン引きされ、思うようにはいかないのが現実だ。

 そこで私は、思い切り声を出せる場所を探した結果、学校裏の干潟に落ち着いている。

 放課後、一人で青い空と青い海に向かって声をだす。それは、なんて気持ち良いのだろう。どんなにめちゃくちゃな読み方でも、誰にも笑われることはない。受け止めてくれる。むしろ、あの場では誰かの目なんてくだらないものは、気にならない。

 一人でぼーっと、読む。

 一人で叫ぶように読む。

 一人でつぶやくように読む。

 一人で真剣に読む。

 一人で訛りながら読む。

あぁ、素敵だな。

 

 そして、決まって私は思うのだ。「言葉がすきだなぁ」と。

 

因みに、邪道な読み方かもしれないがこの本を写本しても面白い。声に出すのとはまた違って、引き込まれる。

 

 

 

 

編集後記

 この本を大人数で一節づつ読み回したら、とっても楽しいだろうな。