- 作者: 斎藤孝
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2001/09/12
- メディア: 単行本
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数年前にちょっとしたブームになった本。
「声に出して、味わう。」
そんなシンプルなことにこだわった本書からは、確かに儚くも力強くもある日本語の力が伝わってくる。
基本的には、諳誦・朗誦することをねらいに編んだ本だそうで、リズムのよい文章が多い。
以下は私のお気に入りだ。
- 平家物語 冒頭
- 百人一首
- いろはかるた
- 啄木歌集 (石川啄木)
- サーカス (中原中也)
- 寿限無
- 奥の細道 (松尾芭蕉)
- 方丈記 (鴨長明)
- 道程 (高村光太郎)
- 正岡子規歌集 (正岡子規)
- 雪 (三好達治)
- 早口言葉
もちろん、これらの作品は声に出さなくても十分に凄い。
でも、声に出すことで新たな一面が見えるのも確かだ。
感想
私は音読があまり好きでは無かった。原因は国語の授業だ。みんな一斉に変な間延びした声で読む授業では、平家物語も奥の細道も台無しだ。そんなものはこれっぽちも魅力を感じないし、つまらない。先生が努力してくれているのはわかるが、そんな授業は最悪だ。
そんな中、図書館の片隅で出会ったこの本に、私は心を奪われた。心地良いリズムがページをめくるごとに体に染みこみ、国語の授業で失った「声に出すこと」の魅力を再び蘇らせてくれた。
しかし、この本の基本である「声に出して読む。」このことは案外難しい。家族に聞かれるのは何となく恥ずかしいし、クラスメイトにはドン引きされ、思うようにはいかないのが現実だ。
そこで私は、思い切り声を出せる場所を探した結果、学校裏の干潟に落ち着いている。
放課後、一人で青い空と青い海に向かって声をだす。それは、なんて気持ち良いのだろう。どんなにめちゃくちゃな読み方でも、誰にも笑われることはない。受け止めてくれる。むしろ、あの場では誰かの目なんてくだらないものは、気にならない。
一人でぼーっと、読む。
一人で叫ぶように読む。
一人でつぶやくように読む。
一人で真剣に読む。
一人で訛りながら読む。
あぁ、素敵だな。
そして、決まって私は思うのだ。「言葉がすきだなぁ」と。
因みに、邪道な読み方かもしれないがこの本を写本しても面白い。声に出すのとはまた違って、引き込まれる。
編集後記
この本を大人数で一節づつ読み回したら、とっても楽しいだろうな。