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きのこのこのこのこ

最近大学生になりました。南の島から東路の果てへお引越し

袋田の滝へ行ってきました

日記 旅行 茨城

 

 ちょうど1か月前、18きっぷを使って茨城県久慈郡大子町になる袋田の滝へ行ってきた。

 

 

 袋田の滝は、栃木県日光市にある華厳滝和歌山県にある那智滝と並んで日本三大名瀑として数えらることで有名だ。沖縄じゃ見れない景色が見たくて、ここへ来た。私が沖縄を出て1週間。18きっぷの期限を理由に飛び出した小旅行だが、求めていたのはただの絶景でなかったように思う。

 

 ここまで大きな滝を見たのは生まれて初めてのことで、「凄い」以外の言葉がでない。自然っていうのは不思議なものだ。ずっとそこに留まってしまうようなパワーを持ちつつ、そこにいる人を元気にさせる。その力には古くから注目されていたのだろう。袋田の滝の周辺には神社や寺がいっぱい。

 

 社務所などは発見できず、神社の詳しい由来を尋ねることはできなかった。ただ分かることは、袋田の滝を訪れる観光客の多くが手を合わせていたということ。特に下二つの神社・仏閣は袋田トンネル内にある。トンネル内は入場料が発生するため、地元の人が気軽に参拝できるとは考えにくい。それでも、丁寧に手入れされているのだから凄い。

 

  見られるのは信仰だけではない。袋田の滝は長年、句・歌の題材としても選ばれてきた。

 

 平安時代から明治まで名だたる方々の文学碑。西行はこの滝を見て言ったという、「この滝は四季に一度ずつ来てみなければ真の趣風は味わえない。」どの時期にこの言葉を発したのか定かでないけど、西行って、京都を中心に生活していた人だよ?同じ茨城県内からでも、バスと電車を乗り継いで4時間はかかったというのに、徒歩が移動手段の平安時代に、4度も訪れたいと思わせただけの滝。それだけでも凄さが伝わってくる。

 私が訪れたのは春である。一年で一番人気のない時期だと言っていたけれど、人気がないのがまた良い。圧倒的な自然を前に行列なんてできていたら興ざめだ。西行の言葉に従って、真の趣風を味わうためにはあと3度、夏・秋・冬に行くことになる。夏には新緑、秋には紅葉、そして冬には氷瀑。次に来る時には、これほど閑散としているわけでもないかもしれない。じっくり見れないかもしれない。それでもまた来たい、異なる表情を見たい、そう思わせる何かがこの袋田の滝にはある。

 西行の気持ちになっていると発見する俳句ポスト。袋田トンネルの入り口付近と袋田駅に設置されていた。詠むのは慣れていないけれども、こういうのって発見すると思わずやりたくなる。旅情がぐっと増す。 

 

 

 

 袋田トンネルを抜けても絶景は続く。まさに私の知らない日本だ。

 近くには日帰り温泉もできるホテルもあって、なんとなく二時間サスペンスの香りを感じてしまう。

 吊り橋なんて特にそう。誰かが歩くと橋全体が揺れて、もしもの時のことを思わず考えてしまう。2時間サスペンスなら、女と男がお互いを橋から突き落とそうと暴れあうのかもしれない。

 壁一面の苔、

 思わず見上げちゃう林、袋田の魅力は滝だけにとどまらない。

 

 絶景を前に飲んだ瓶コーラ。買った店の夫婦が茨城弁だったから、思わず頬がゆるむ。

 袋田名物のがっぺこんにゃく。ショウガが効いてこれまた美味しいんだ。

 ここらは定番、鮎の塩焼き。袋田の滝を上流とし、町全体を流れている川から捕れるものなのだとか。骨も噛み切れるため、尻尾からかぶりといける。風情があるねぇ。

 ししゃもテール。その名の通り、ししゃもの尻尾の肉らしい。なかなか聞きなれない食べ物だけれども、私はこれが一番好き。油が乗っていて、美味しいんだ。魚というより、鶏肉に近いのかもしれない。

 

 

 それから、沖縄の観光地では見かけることのなかった怪しい土産物もどっさり。この炭は、袋田の職人しか出来ない製法で焼き上げているらしい。炭の表面が菊のようになっていて、手に取ってしまう。炭は脱臭効果のほか、除湿もしてくれる。そこまでプッシュされてしまっては買ってしまう。

 お面!

 天狗!怪しすぎるでしょ。

 さすがに購入には至らなかったけれども、見てるだけで楽しい土産店。 夜中に山奥でこんなんのに遭遇したら泣くよね。と、いうのも、ここらには天狗伝説があるらしい。

 看板ではムササビのはばたきなんて説明されているけれど、科学の力ですべてを説明できるとは思わない。ただの見間違えなんかではなくて、山深い袋田に大きな滝があって、もう天狗が出てもおかしくないんじゃないかって思わせるだけの雰囲気がある。普段は山奥に住んでいる天狗だって、夜には滝を見に来ちゃうくらい滝には力がある。この天狗伝説はただの笑い話ではない。袋田の良さを伝える秀逸な宣伝文句である。

 

 袋田を散策して数時間。

 非日常を思い切り吸い込んで、私はまた慣れない家へ帰っていった。

 この線路がずっと東北まで続いているとは信じられない。

 私にとっては初めての鉄道旅だった袋田旅行。18きっぷの使用期限が迫った週末だったこともあり、電車の中は18きっぷの利用者であふれていた。私自身、一人旅だと決め込んでいたけれど、電車で出会ったおじさまと一緒にまわった。旅は道連れ、ってね。初めて見る日本の姿に、偶然の出会い。18きっぷで帰宅するためにはまた長い道のりが待っていたけれど、ガタンゴトンという一定な音は私の興奮を冷ますためにはぴったりだった。