雑記帳

沖縄と民俗と言葉と本と

留学日記 12月4日 風邪ぴっきの日々

 

 

 前回の日記を書いたのが11月中旬で、その後からかれこれ2週間体調崩しています。風邪っぴき。つらい。

 

 前回の日記も調子が悪いことに関して書いていたけれど、関係あるのかな。11月16日に調子悪いなと思っていたけれど、17日にはサイシャット族のお祭りに行き(これが最高だった)、18日には沖縄でお世話になっている人に台湾を案内した、20日の午後、授業終わりによった博物館で喉が少し痛いことに気づいたのが、風邪のはじまりだ。

 

 

 

 関係あるとするならば、やはり睡眠不足。それから、痩せたいって思ったこと。外食文化の台湾に来て、増えた体重をどうにかしたいと思った。それから、身体を思う通りに管理したいという気持ちもあったかもしれない。私は身体と心がうまくつながっていない感じがする時が多い。脳の乗り物として身体を扱ってしまっていると言いますか。だから、身体を労わることが下手くそで、こうして体調不良の時は身体に反逆された、と思ってしまう。身体も含めて自分であることは、頭では分かっているんだけれども。

 

 風邪をひいた2週間、合間に母や母の友達を台湾案内したり、博物館ガイドを行ったり、道教のお祭りに行ったり、それなりに予定は詰まっていたけれど、そういう以前から決まっていたものを除いてはひたすらに寝ていた。ゆっくり休もうとDVDを借りたり、読みたい本もあったけれど、そういうものを楽しめる余裕もなかった。風邪っぴき、身体がしんどいことはもちろんだけれども、そうやって何もできないまま時間が過ぎていくこともまた、気持ちに追い打ちをかける。

 

 風邪って5日かそこらで治るものじゃないの?って思ったけれど、これがなかなかしぶとくって、風邪をひいて13日目の昨日も熱が出ていたし、夜になると咳がひどくて眠れない。今だってそうだ。咳ぜんそくになっていないか、少し心配。ただでさえ、台湾の空気は悪く(排気ガスとPM2.5)台湾歴が長い駐在員の方々には、冬は窓を閉めて、空気清浄機を動かすことをおすすめされていたところだったのに。

 

 

 

 異国の地で体調を崩すって、つらい。気持ちもつらくなる。周りの日本人留学生も一度は体調を崩しているから、知らず知らずのうちに張り詰めていた神経が緩むころ、疲れが出て来るころ、だったのかもしれない。

 

「留学は2か月3か月目が一番つらいよ」って言われていたけれど、その言葉の意味が少し分かった気がする。

 

 「台湾、良いところだよー」とひたすら言ってきたし、その思いは今もそんなに変わらないんだけれども、本当にささいな、目について一度気になると仕方ないところはあって。列に並ばないとか、中国語が通じなかった時に発せられる「は?」という聞き返しとか。相手に悪意がないことは分かっている。でも、自分にも余裕がない時にそういうことをされると、心がささくれ立つ。

 

 台湾料理は沖縄料理と似ている!美味しい!とも言ってきたけれど、今回体調崩した時に食べたいと思えるものが一つもなかった。何か食べないと治らないよなあ、という意識はあったから一応何かは食べていたんだけれど、記憶がない。口慣れない味に挑戦するのは、身体も心も元気な時じゃないと厳しい。

 私は滷味が苦手なんだって気づいた。滷味とは、滷肉飯の味(雑な説明)。八角と甘醤油と諸々(漢方系のものが多い?)を煮込んだ料理のこと。台湾のどこどこが自分に合わないんだっていうことを口にしちゃいけない気がしていて、最初の頃から口に合わないなって思いながらも、美味しいふりをしていたのが滷味。

 

 体調崩したときに、どうにもならない不満を呟くようにして留学仲間に「滷味が苦手なんだよね」とこぼしたら、「今さら?」って笑われた。「わたしなんて台湾料理嫌いだからね」とその子は言っていて、そのあっけらかんとしたところに、私もまた笑った。ああ、台湾に留学していても、台湾の合わないところがあって良いんだっていうね。考えるまでもなく、沖縄にもつくばにも、好きじゃないところはあるわけで。台湾の全てが好きでないといけないと思うのは、やっぱりどこかでまだ気負っていたんだと思う。留学に対して、有意義でなければならないとか、楽しくなければならないとか、友達をたくさん作らなければならないとか、たくさんの呪いがあるような気がする。

 

 ただ沖縄やつくばに対して私がそうであるように、留学が終わって帰国する頃にも合わないところも含めて、やっぱり嫌いにならないで居たいなと思った。

 

 風邪の良いところは、のんびりでも、時間が経てば治るところだと思う。ゆっくりと、朝起きたら身体が軽くなっているのを感じる。すっかり枯れていた声も大分元通りになった。(中国語って声の高低も大事なので、声が枯れるといつもの数倍下手くそになった気がした。1声が出ない。つらい)

 

 風邪っぴきの時はいつもより身体の声を聞けるような気がして、自分の気持ちは焦っていることも知る。Twitterやインスタを見ていると、日本にいる友達はより専門的な授業を受けて、インターンや就職説明会に行っていることが分かる。何かを選ぶってことは、何かを選ばないってことであるわけで。そんな時ベットで寝てばかりいると、自分が全く違う時間に居るように感じる。

 

 私の周りはとっても優しくて、「私が台湾に身を置いて過ごした時間、それだけでも十分価値がある」と断言してくれている。私もそう思ったから台湾に来た。「その為にも健康管理だけはしっかりとね」と母の声。風邪がここまで悪化したのは、母の台湾旅行で無理にガイドをしたから、ということもあるので、ちょっと母には恨みもあるんだけれども、これは沁みた。

 

 私はもうむやみに焦らないぞと決める。思う存分のんびりして、また元気になったら外に出ようっと。つくばでも沖縄でも、いつも課題やバイトや単位に追われて、その思う存分のんびりができなかったから、このぽっかりと切り取られた台湾での時間で、身体を休ませることを覚えるのも良いのかなと思った。台湾で得たいこと。それは別に台湾に限らなくてもいいんだけれども、海外という非日常を日常にしながら得たいこと。ぽっかりと空いたモラトリアムの時間で得たいことの中には、もっと基本的な生活する術みたいなものもある。ライフハックのようなものではなくて、本当に基本的なこと。身体が風邪ひいている時は、罪悪感を抱かずに休むべし、とか。海外生活、最終的に自分の身を守るのは自分なんだから、もっと生活にハリを求めていこう。自分の声を聞けるようにいよう。

 

 風邪っぴきの日々。もう少しで風邪は治りそうだから、焦らず、ぼちぼち行くよ。これから同じく風邪っぴきの友達と豚カツを食べに行ってきます。風邪の時こそスタミナつけよう。風邪の時は日本食が本当に染み入る。これは風邪をひいて発見した、私の中の「日本人」の部分です。