きのこのこの雑記帳

どきどき台湾留学2018.9.1~ 沖縄と民俗と言葉と本と

留学日記 秋学期(ファーストセメスター)の授業まとめ


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 新学期が始まって早1週間。新しい生活リズムにも慣れてきた。宿題が重そうで、討論の時間が地獄であるとか、逆にレポートさえ出せば単位は来るはずとか、交換留学生だから単位は要らないんだよねとか、色んな話が聞こえてくる。

 

 今学期の授業について考えているうちに、先学期取っていた授業まとめをしていなかったことに気づいた。

 

自分用の振り返りと、台湾大学の交換生への参考になるようにと、書き留めておく。

 

グーグルの検索に引っ掛かりそうなタイトルを付けていないのは百も承知だけれども。

 

 まず、前提としてわたしは日本の大学では比較文化学類に属している。(はい、ここで結構特定される)

さらに、その中でも民俗学文化人類学、宗教学、地域研究について中心的に勉強していた。また、学類の勉強とにわかに関連しつつ、学芸員資格と国語と地歴の教員免許取得に励んでいる。

 

ちなみに、卒業単位数そのものは結構足りていて、交換留学生とはいえども単位を日本の大学に持ち帰らなくても良かった。これは心の余裕となる。

 

 これも書いておくと、英語も中国語もできない。そう書いても、できないにも色々なレベルがあるから、公的な基準を示しておくと英語は英検2級程度、中国語はHSK4級(中国語検定3級程度)で台湾に来た。しかし、英語も中国語も思ったよりも全然できないなと痛感させられたところからのスタートだった。

 

前提おわり。

 

 月曜日から順に取った授業を書いていくよ。

最初に言っておくと、下に挙げる授業のほかに毎日朝8時から10時までの中国語の授業がある。これは交換留学生はほぼ皆受けている。中国語の力がどれだけ伸びたかはイマイチ分からない。日本で既に学習したこともあった。でも、日本で学んだときより大分丁寧に教えてもらい、さらには実践の時間も多く与えられたおかげで、日本では「理解はしている」レベルであった文法事項が運用レベルにまで上がったと思う。

 

 はっきり言ってレベルの高いクラスではないけれども、先生曰く「今使っている教科書が終われば一般的に中国語が話せるというレベルとなる」らしいので、焦らずについていこうと考えている。

 

 

  • 探索台湾

月曜日の3,4時間目開講

内容は台湾の民族、民俗(人生儀礼及びお祭り)、寺社建築、書道、食文化、歴史。オムニバス形式で進んでいく。留学生向けの授業なので専門性は高くない。交換留学生より、外国人の本科生の方が多い印象。

 そうは言っても、意外と台湾について知らないと気付かされる。例えば、台湾原住民族の食事の特徴や、客家の食事の特徴など。さらに宿題として食レポも課され、実際に客家料理を食べに行ったり。別の回では先生の解説のもと、龍山寺を見学したり。広く、台湾文化を理解するのに役立った。

 また歴史の授業などでは、日本統治時代について中国語で講義を受ける貴重な体験にもなった。韓国人のグループと討論する機会があり、「統治についてどう思うか」と聞かれ、どきりとする場面も。韓国の子が挙げる植民地政策は、沖縄にも通じる部分もあった。討論については「わたしは沖縄出身だからー」と言いながら誤魔化したところもある。教科書では習ったけど、祖父母から聞いた体験とはかけ離れている的な話をした。それもまた事実なんだけれども、自分自身をずるいなと思った。私の母語は日本語で、今は日本人だからこそ受けられた恩恵もあるはずだから。「沖縄出身だから」の一言でどこまで許されるのか。台湾について学ぶことは、自らの足元を揺るがすことにもなる。

 

 知らなかった台湾文化を早いうちに学べたのは留学生活において良かったと思う。だってやっぱり知識があるのと、ないのとでは見える景色が全然違うからね。

 

 中国語のレベルは高く、ついていけるか不安もあったけれども、結局のところ何とかなった。中国語そのものは分からずとも、授業で扱う内容自体には親しみがあるというところが大きかったと思う。ただ、討論の場ではチームメイトの足を引っ張って申し訳なかった。

 成績はA+

 

  • Exploring Taiwan: Film 

 月曜日67限

 英語開講。本科生も教養科目(?)として受ける授業。

 台湾社会について講義を受けた後、それに関連する台湾映画を観た。台湾映画が社会的なムーブメントとして、台湾で一定の地位を持っていることをこの授業で知った。LGBTに対する政策や新住民と言われる移民に対する政策、台湾映画史等々この授業で知ったことは多い。出席を取らないということに甘んじて、聞き流すことも多かった授業だったけれども(反省)、解説を聞いた後に観る台湾映画は単なる娯楽を越えていた。社会を映し出すものとしての映画、というか。

 

 女性の映画監督にフォーカスした映画祭もこの授業で知り、映画漬けになった週もある。台湾では(日本映画含め)週に一本のペースで映画を観ているんだけれども、それはこの授業のおかげでもあった。

 

本科生と一緒に受ける、英語での授業にビビっていたけれども、意外といけた。先生は台湾人で、英語ネイティブでないことがその理由の1つだろう。同時にそれって台湾人の学生的にはどうなのよ?と思ったり。いや、英語開講はありがたいんだけども……。

 

成績はレポートで決まる。中間レポートでは、台湾の言語政策と台湾映画史を並べて論じた。台湾語で映画を作ることが如何に革命的だったか、など。

期末レポートでは霧社事件をテーマとした映画「セデックバレ」を取り上げた。台湾原住民族関係の博物館での経験も織り交ぜながら書いたので、レポートにしては柔らかくなってしまった。

本来16民族に分けられる台湾原住民族だが、現在その文化は混合して認識されているのではないか?など。また、同じく日本統治時代を描く「KANO」とは対象的な日本人像などなど。

成績はA−

 

  •  Chinese for Tourism

 水曜78限

 旅行で使う中国語について学ぶ授業。もちろん留学生向け。交換留学生と本科留学生の割合はともに5割程度。内容は全然難しくない。

 ホテルチェックアウトの方法や電話対応、ケータイの契約など、実生活に即した中国語が学べた。何だかんだ「役に立つ」割合は一番高かったかも。

 留学当初の目標は「日本から遊びに来る友達を中国語で案内できるようになる」だった。これを達成できたのも、この授業で知った語彙のおかげである。

 

 良かったなと思うのは、授業を通して台湾の地理とその土地の名産を知れたこと。授業で聞いた観光地には行きたくなったし(そして行ったし)名産を知れたおかげで美味しいものにもたくさん巡り会えた。

 

 成績は毎週の課題、小テスト、定期試験、プレゼンで決まる。テストや課題は問題ないけど、忘れられないのがプレゼンだ。

 

 中間プレゼンが、くじで決められた初対面のグループで、旅行に行き、その様子をプレゼンするというものだった。つらい。コミュ力が試される。例え母語で生活できる日本でもやりたくない。私たち班は動物園と、紅茶の産地である猫空に行った。色んな意味で忘れられないだろう。また私以外は本科留学生だったので、中国語はたくさんお世話になった。

 ちなみに期末プレゼンは、まさかの劇。本科留学生が台本を作ってくれたところまでは良い。ただ本番で一人の欧米人がセリフを全部飛ばしたことにより、劇はパニック。人のセリフを奪い合い、そのことに爆笑しながらも全部アドリブというトンデモなさで劇は幕を閉じた。役者としては全員失格である。でも楽しかった(?)

 

 成績はA+

 

  • 日本語翻訳

木曜日67時間

 日本語学科の本科生向けの授業。日本人の先生が行う。(まさかの大学の先輩にあたる方だった)

 

40名程度のクラスの中から、台湾人と日本人の混成グループを作り、日本人は主に台湾人の訳を解説しながら直していく。主に中国語から日本語の翻訳だった。訳す題材も現代小説台湾原住民族の神話など多様な中で、日本語の特徴としての役割語などについて学んだ。

 

 国語教職の関係で日本語学も学んでいるし、余裕だろうと思っていたら結構難しかった。当然だけど、母語話者と学習者の理解の方法には大きな差がある。台湾人の学生が思わぬどころで躓いてたのが印象深い。

 

 一方で、普段気にもとめない日本語文法を体系的に説明することは、自身の言語感覚が研ぎ澄まされる気がした。中国語を学び、英語で授業を聞く中で、自分の母語を振り返る時間もまた貴重なように感じる。

 

 成績はテストと課題で決まる。母語話者ながら、毎回の先生が選ぶ名訳にあまり選ばれなかったのが実は悔しい。

 

 テストはもちろん、日本語学習者と母語話者で分けられていた。「通じて」と「通して」の違いを例文を挙げながら日本語学習者に説明しなさい、という問題など。

 

 この授業で嬉しかったのは、友達を作れたことだ。言語交換の相手を見つけ、一緒に旅行に行くまで仲良くなれたのは良かった。

 

成績A

 

 

 

 ざっとまとめたところ、こんなもんかな。交換留学生としては平均的な履修科目数だと思う。日本の専攻を意識していたけれども、専門性そのものは日本の大学で学んだ方が高められただろう。

 

 一方で、体験的な台湾文化の授業だったり、日本語翻訳だったりと、日本に居ては得られない経験ができたのもまた確か。台湾映画など、日本に居たときには考えもよらなかった視点も得た。台湾のことを学びながらも、日本語や沖縄のこと、日本のことを考えたし、アジアを広く考えることもあった。そういった意味で、交換留学のわたしが受けた授業の価値は、単なる専門性や単位数だけでは測れないだろうと思う。むしろ、日本での専門性をもってして、ここで得た知識をどう結んで行くのかの方が大事である。

 

 それからぶっちゃけると、たいそれたことを考えずに、私には空白の時間が必要だったなあと思う。ぼんやりとする時間。日本の大学に居たときは、資格の関係でそんな余裕なかった。けれどもここでは違う。何を勉強しようか、という選択ができること、その地点でもかなり豊かだった。

 

ちなみに課外活動としては、台湾原住民族博物館での日本語ガイド、寮のヨガクラス、お祭りの参加などなどしていた。サークルとしては日台交流会に入った。けれども、お膳立てされたギチギチの「交流会」があんまり得意でないので、(得意だったら中学高校であんなに苦しまなかった)行かなくなっちゃったな。