きのこのこの雑記帳

どきどき台湾留学2018.9.1~ 沖縄と民俗と言葉と本と

日本の大学の友達と、台北をまわった4日間のこと


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 日本の大学の友達が台湾に来てくれた。今は彼女を空港に送って、その帰り。

 少し寂しくて、どこか手持ち無沙汰だから日記を書きます。

 

 家族、沖縄の友達、大学の友達と変わり代わり台湾に遊びに来てくれるのがとても嬉しい。

 誰かと一緒にまわる「台湾」は、普段生活の中で見る「台湾」と違う表情を見せてくれる。

 

 今回まわったのは、お茶屋さんや夜市、故宮博物院という定番から、国軍歴史文物館ような自分一人では決して行かないだろうなっていう場所まで、4日間でかなり楽しんだ。

ちょっと振り返ってみようと思う。

 
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これは国軍歴史文物館

ありとあらゆる武器が並ぶ様子は、なかなか衝撃的でもあった。戦争博物館でなく、軍事博物館に行ったのは初めて。

 

中華民国が辿ってきた戦いの歴史は、知っていたはずだけれども、博物館で実物を見るのと、本を読むのとでは重みが違う。よく「親日国」と称されるこの国で、日本人を殺した武器が、その証拠がズラリと並ぶ。日本人が中国人を殺したその証拠も。

千人針が日本軍のお守りとして展示されていた。不揃いな縫い目を見ながら、ああこれは確かに色んな人が縫ったんだなと事実を確認する。千人針をお願いしてまわる人の姿、一針を縫った人の姿、そしてこれを戦地に持っていった人の姿を思ったあと、「敵国、日本」のお守りとしてこれを見る台湾人のことを思う。一体、彼らの目にはどう映っているのだろう。「無事に帰って来てほしい」その願いは、美しい。でも、美しいだけでは終われないのが戦争であり、人の殺し合いなんだと思った。

 学校の研修で繰り返し行っている、沖縄県の平和記念資料館に行くと、私は「ひどいねえ」と顔を歪める。顔を歪ませたくなるような事実がたくさんある。沖縄人としての私は、自分の生まれ故郷に流れた血に涙を流す。

 でも、台湾の歴史を振り返る時、日本人としての私は「ひどいねぇ」とだけを言って終えてはならない。台湾で過ごす日々は、近代日本がアジアに対して何をしたのか、を感じる日々でもある。

 

 戦争博物館は今まで、何度も行ったことがある。沖縄の平和祈念資料館、長崎の原爆資料館アルメニアのジェノサイド博物館、ラオスの地雷センター(正式名称忘れた)などなど。でも、国軍歴史文物館で抱いた感情は、これら戦争博物館で抱いていたものと異なる。

 

 現在に至る軍事力を示すような展示が多く、台湾がこれを国内外にアピールしなければならない状況にあるのだと思う。段階的に縮小されているとはいえ、徴兵制がある国だ。

 


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中正記念堂にも行った。


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 たまたま最終の衛兵交代を見ることができた。その日最後の衛兵交代なので、中正記念堂ではためいている国旗を降ろす様子も見られた。

 「どこからともなく国歌が流れるはずね」と話していたら、本当に国歌が突然スピーカーから流れ出したので驚いた。(もしかしたら国旗歌かもしれない)厳かに、丁寧に、国旗が扱われる。国旗はただの旗ではないんだぞ、というメッセージが伝わってきて、ゾクゾクした。

 近代国家はその名の通り、近代の産物だ。これを当たり前のように維持していくのは大変なんだろうなぁと思った。国旗も、国歌も国家の象徴として、ただの旗や歌ではなくなるんだから。

 中正記念堂には、高校の修学旅行でも行ったことがある。そのときにも、中正記念堂がもつ政治メッセージにクラクラきたものだ。巨大な蒋介石の像、それは仏像さながらで、偶像崇拝を連想した。ロシアのスターリン像みたいな。永久保存された社会主義国国家主席みたいな。中正記念堂で、クラクラくる感覚を高校生の時より言葉にできるようになっていて、何をどうとは言えないけれども、大学で学んでいるんだなあと思った。

 

台湾に持ってきているものの、積本となっている『想像の共同体』を読みたくなった。読みます。

 

 
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ちなみに、ジブリのアニメーションレイアウト展も中正記念堂でやっていて、ホイホイされてしまった。

中国語でジブリは吉ト力と書く。音訳である。ジブリのアニメは、映像でみてこそ完成品のように思っていたけれど、絵コンテの段階で一枚一枚とんでもなくキマっていて、かっこいい。

台湾で行われている展覧会ということもあり、ジブリ作品の中国語訳もまた面白かった。絵コンテに書き込まれている文字が読めるのは、日本語話者で良かったと思う瞬間。

千と千尋の神隠し」の予告映像を観ながら、友達と「何故カオナシが玄関からではなく、軒下から入るのか」ということを話していた。私たちは民俗学徒なので色々勝手に解釈したくなる。考察上映会をやろうって約束した。

 


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総督府にも行った。日本人ということで、日本語ガイドがつく。ガイドさんは、88歳のおじいちゃん。私の祖母と同い年だ。日本統治時代に日本語を学んだこと、日本に行ったこと、意気揚々と話してくれた。細かい日本語について、例えば「かりそめってどんな意味ですか?」と聞かれる。いくつになっても日本語を学び続けようという意思を感じた。総督府のガイドは、おじいさんの思想がたくさん込められたガイドであったように思う。

 

 総督府を上空から見た時、「日」の字になること、私からすると帝国主義を感じて複雑な思いになるんだけれども、おじいさんは肯定的に話していた。限られた時間内でのガイドなので、触れる展示物についても日本との関係を前向きに肯定するものばかりであった。このことは当たり前かもしれないけれども、私もいま台湾で博物館ガイドをしている身。歴史や文化を解説する難しさも感じた。

 

 「中国は国家が人民のものでないけど、日本も台湾も国家は人民のもの。良かったね」とのおじいさんの言葉には、ガイドを受けていた日本人は苦笑いだった。今度は中国語、もしくは英語でガイドを聞きたいものだと思う。きっと、全く違う解説になるのだろう。

 

 

 

故宮博物院にも行った。

 

 博物館、ひとりで行くことが多いけれども、友達と見る楽しさもそこにはあって。何度も足を運んでいる故宮博物院で、笑いながら観覧したのは、初めてのことだった。かなり語りながら観たので、4時間弱の滞在時間の中、2階の陶器、しかも一部分しか観られなかった。また来よう。

 


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 お寺(行天宮、保安宮、孔子廟龍山寺、青山宮、福徳正神廟)もまわったし、順益台湾原住民族博物館にも行った。同じテンションで楽しめるってこんなに楽しいんだなと思った。

 

台湾で出会っている日本人も大変良い人たちではあるけど、中国語専攻や国際専攻が多く、私が学んでいること、大切にしていることに対しては「どうして学ぶの?お金になるの?〇〇ちゃんって変人だよね」と言われることが多かった。今のわたしは、そうした言葉に傷つく程ナイーブではないけれども、同じような価値観をもつ人とまわる台湾がまた魅力的であった。台湾で「どうして学ぶの?お金になるの?」と私に聞く人は、無意識かもしれないけれど、いつもどこか見下しているような眼差しを向けている。だからこそ人に対して「変人」と評価を下すことができるのだ。そして、普段の私は中国語や英語に自信がないのもあり(彼らの方が中国語や英語ができる)微妙な表情で、変人としての道化を演じるのだ。これは高校までの処世術であり、台湾での処世術でもあった。

 

 でも、友達とまわっている時には「どうして民俗や信仰、歴史や文学を学ぶのか、それは楽しいからに決まっているじゃない」という気持ちになれた。ちょっと人間関係に疲れている時期だからかもしれない。自分の中から聞こえてきたその答えは、自分に自信を与えた。

 

 私は交換留学を本科留学の下位互換だと思っていた。本科生の方が中国語は上手く、SNS では本科生が猛勉強している姿を見るからかもしれない。本科生に対して、どこか申し訳ない気持ちも抱いていた。

 

でも、最近はそうじゃないと言える。まだ上手く言葉にできないけれども、交換留学には交換留学の大きな価値がある。母語で学んだことを下地にしながら、台湾で暮らすこと。台湾で学ぶこと。私には帰る場所である日本の大学があり、(実際に台湾大学で交換生がもともと属しているの大学のことは、home universityと呼ぶ)そこでの友達や先生がいる。それは私の強みだ。実際、つくばの先生が教えてくれたお祭りに参加したり、参考文献を読んだり。台湾原住民族博物館でのガイドも、つくばの友達経由で知ったことだった。

 本科留学と交換留学、どちらが優れているか、という話ではなくて、私は交換留学生としてのびのびと得られるものがたくさんあるはずだと思う。

 

最後に食べたものの写真を貼る
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またスチームパンクカフェに行った。

日本から誰かが来るたびに行っている気がするけれど、美味しくて可愛くて、最高なので問題ない。いつもは紅茶を頼んでいたけど、コーヒーも美味しかったです。お高い、上品な味がした。


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ぶらぶらした市場。最近、街なかの台湾人との会話がスムーズにできるようになってきているので、よくブラブラして話しかけられ、話しかけちゃう。今期は台湾語も履修しているので、次なる目標として会話の中に台湾語も織り交ぜたい。

 

市場に並ぶ商品の中で、あ、これお供え物に使うやつだ!と思うと買ってしまう、民俗学徒なので。

民俗学徒を自称するわりにお祭り行けてないこと、春休みの調査整理が終わってないことを思い出して絶望している。

 


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わたし私の好きな焼仙草。独特な風味があって、日本で言うところの〇〇!と言えないんだけれども、繰り返し食べてしまう。写真映えしないのが、もったいない。

 


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トマトスープの牛肉麺

友達がせっかく来ているのだから、台湾らしいものを、と思って食べた。牛肉が柔らかくてたまらないことは言うまでもないが、トマトスープがまた絶妙に合うんだよなぁ。牛肉麺の新たなる境地って感じで好き。「新たなる」と言ったけれど、牛肉麺トマトスープのコラボは街でそこそこ見かける王道の組み合わせだったりする。

 

 ああ、毎日たらふく食べて、かわりに足が棒になるくらいまで歩いて。とても楽しい4日間だったなぁ。

 

 私が日本に帰国した2ヶ月後に、彼女が北京に留学する。私たちは入れ違い留学で、しかも予定を詰めまくってしまう習性のせいで、今度はいつ会えるか分からない。それでもなんか大丈夫な気がしている。次は私が中国に飛びます。