雑記帳

沖縄と民俗と言葉と本と

5月27日 媽祖遶境と避難訓練

 

 

 朝の授業を終わらせて、お寺へ。3日連続の士林。

 土地に惹かれるということは、「この土地なんか居心地良いなあ」という実感と共にやってくるものだけれども、私と士林の場合は「土地に呼ばれる」と行ったほうが良いかもしれない。

 

 特に士林のことを気に入ってるわけでもなく、私が住んでいる地域と士林は台北市の端と端とも言いたいくらいなのに、私はよく士林に向かう。よく行く博物館もお寺もなぜか士林周辺にあるのだ。

 

 博物館漬けの週末、見かけた一枚の案内を頼りに、お寺を訪ねた。


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 媽祖の遶境が目当てだ。これは、日本でいうところのお神輿といえばいいのだろうか。

 その寺廟の神様が管轄している地域を練り歩き、その地域の平安を祈る行事だ。その様子はとても華やかで、御神体のみならず、神に扮した人や太鼓を打ち鳴らす人、ラッパ隊などが続く。士林の神農宮ではポールダンスをするお姉さんまでいた。

 

 
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 こうした隊列を前に、私がカメラをもって所在無さげにしていると、おじさんが「もっと正面から撮りなよ!」と言ってくれる。私は寺の中の人でないけど、沿道から水を手渡される。別に良いらしい。

 

 台湾中北部では台湾華語といわれる中国語がよく話され、台湾南部では台湾語がよく話されている、という話をよく聞いていた。けれども、お寺の中とそれに関わる社会では台湾語を耳にするのは日常茶飯事だ。

 

 「写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、「リーシジップンランボ?」と返ってくる。「グワァシジップンラン」と私も台湾語で返すと場が湧く。私の台湾語は中国語よりもお粗末でなんだけれども、外国人が台湾語を話すというシチュエーションがおもしろいのだろう、いつもウケる。今学期、台湾語を履修して良かった。

 

 すっかり忘れていたけれども、この日は台湾北部対象の避難訓練があった。隊列の動きが止まったから、「休憩かな?」と思っていたけれど、どうやら警察によって止められているらしい。私たちも屋根の下で待機するよう指示を受けた。

 


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 この避難訓練、日本でだるく受けていた災害避難訓練とは違い、緊張感に満ちている。想定されているのは中国からの空襲。警察の指示に従わなかったら、最大15万元の罰金らしい。国道の信号機も消され、バスもタクシーも自家用車も、みんな路肩に停めるよう指示される。避難訓練の30分の間、道を通ったのは救急車だけ。地下鉄は走っていたようだけれど、駅で待機するように指示されていたらしい。異様な時間だった。避難訓練のサイレンが鳴ったあとから、台北ではゴロゴロ稲妻が鳴り響き、大変不気味だった。

 

 一緒に居た子が空襲の避難訓練について「韓国にもあるよ」と言っていた。台湾留学で得たものの中で、特に大切なのは知識より、ある種の感性だと思う。国際情勢に対する興味はその一つだ。この1年、国際ニュースを読むようになった(今までは文化面をまず先に読み、それから興味がある記事、重大ニュースを読むくらいだった)

 

 中国語のクラスで、お互いの国の違いやニュースを話す機会が多いからである。この間私が北海道の異常気象を話し、地球温暖化を嘆いていたら、ペアのインドネシアの子がクーデターについて話した。(その前はインドネシアの首都移転についてだった)そのクーデターの様子はなかなかに過激で大変なことになっているということが伝わってくる。さらに、彼女は自分はどういう考えで、誰を支持するのかまで教えてくれたものだから、これは知らないといけないなという気がした。世界では日々色んなことが起きているのだと、そしてそこに関して鈍感だったことを反省する。

 

 お寺からの帰りには、東門でマンゴーかき氷を食べた。
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 友達が台北イチと言うだけあって、かなり美味しかった。たしかに、台北で食べたマンゴーかき氷のなかで一番美味しい。

 

 そのあとは台湾語の授業。

 今日は1日充実してたなんて思っていたら寝落ちてしまい、やるべき勉強は何にも達成できなかった。一日の活動量なんて決まっているように思う。