台湾南部旅行2日目は、屏東へ向かった。お目当ては牡丹社というところで、台湾原住民族に殺された琉球人の墓。
牡丹社事件(日本語でいうところの台湾出兵)は、高校の日本史の教科書で知っていた。しかし、それを習った当初は気にもしていなかった。ましてや、数年後まさか自分がその現場に立っているとは思いもよらなかった。
それがいつから認識が変わったのだろうか。これというきっかけではない。大学で色んな本を読むうち、わたしの故郷である沖縄が最初から日本であった訳でなく、時の選択といくつもの偶然、時局によって選ばれたもの(選ばされた?)であるように実感していった。国家という枠組みが非常に曖昧で、近代的なものに過ぎないと知ったのもちょうどその時だった。
牡丹社事件の被害者は琉球人と言われている。しかし、わたしは琉球人ではない。両親ともにルーツは沖縄にあり、18歳までずっと沖縄で育ってきた。わたしは沖縄人(うちなーんちゅ)であるのかもしれない。しかし、琉球人でない。
歴史を振り返ってみれば分かるように、牡丹社事件(台湾出兵)がもたらしたのは、その後の琉球処分である。そしてこの琉球処分は、わたしの今のアイデンティティ、つまり琉球人でないと言い切れてしまう心根につながっている。
何で牡丹社に行きたかったかと言われると、しっかりとした答えは出なかった。牡丹社事件について調べているわけでない。
でも、単なる興味でない気がした。
続きを読む