雑記帳

沖縄と民俗と言葉と本と

国際交流っていうけどさ

 

 

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 昨日私は、ものすごく大変な思いをしました。交換留学で沖縄に遊びに来たアメリカ人の相手をしていたのです。

 

 もう少し詳しく説明すると、私は「かけはしプロジェクト」に参加しています。かけはしプロジェクトとは、アメリカと日本の国際交流のかけはしになりましょうっていうもの。学校単位で応募し、私を含め23名が選ばれました。私達メンバーは11月にアメリカワシントン州に行きます。今回は、反対にワシントン州の高校生が沖縄へやって来たのです。

 

 アメリカのかけはしメンバーも私らと同じ23名。一人ひとりがパートナーとして、昨日は1日日本の学校生活を送ってもらいました。

 

 基本的に私は英語が出来ません。1週間に8時間も英語を学んでいるはずだというのに、私は英語が出来ません。

 でも、何故か「アメリカ人の相手くらい何とかなるだろう」と高をくくっていたのです。

 もうそれが大誤算。何を言っているのか始終わからない。私のカタコト英語はやっぱり通じないし、でもそれじゃあ学校生活が送れない。去年の夏、ラオス人の高校生との交流の方がよっぽど楽だったと思うくらいです!

 私が思うに、英語は非英語圏の人との方が通じます。お互いに慣れない言語間だから、それはそれは一生懸命話すわけですよ。たとえ単語のみであっても、ゆっくりかつ繰り返して言うからいつかは通じます。

 しかし、英語圏の人は「英語が世界の共通語だ!」と言わんばかりにペラペラ英語で話してきます。いや、英語は世界の共通語だと思うし、国際的な高校を名乗っている割にいろいろ残念なわが校、強いては怠け者の私に非はあります。でも、つらいものは辛い!

 

 1時間目は生物でした。今回の実験内容は「ブロッコリーからDNAを抽出する」というもの。これをどう英語で説明しろと言うのか。頑張りましたよ、そりゃあ。相手の高校は理系に強い学校らしくて、パートナーは何か余裕っぽかったです。優しい彼は(パートナーは男子です)私の横で説明してくれます。でもさ、申し訳ないけど「DNA」という単語以外聞き取れないから。

 

 2時間目は英語でした。「やったー!これで安泰」と安心したものつかの間。英語教師に通訳を頼んだら、「30回くらい聞き直せ。そしたら分かるよ」とのこと。う~ん、苦しい。

 その後の休み時間。彼と学校内散歩に行きました。私の高校からは海が見えます。学校は大嫌いですが、このロケーションだけは自慢なのです。そこで初めてパートナーとコミュニケーションをとれました。名前はケリー。趣味はゲームのプログラミング。人と話したり、スポーツするのは嫌い。将来の夢はプログラマー。ついでに服装はジーンズにTシャツを入れています。何と言うか、すごく察しました。私は思春期こじらせ系文学少女です。マイブームは琉球語の係り結びです。ここ分かったことは、私達2人して国際交流向きの性格ではないということです。私も彼も今回のプロジェクト参加動機は、「国のお金で海外にいきたい」という不純なもの。言っちゃえばお似合いなのかもしれません。

 

 3時間目も英語。でも、うちの英語教師が途中で居なくなってしまいました。教室に残された30人の生徒。ここはかけはしメンバーが仕切らないとダメかな、ということでまた頑張りましたよ。普段は窓の外ばかり見ている協調性足りない系女子の私ですが、今回ばかりは教卓に立ちいろいろ言いました。何を言ったかは覚えてません。多分大したこと無いでしょう。でも、とりあえずHR長と副HR長には感謝するべきだと心に刻みました。

 

 ようやく来たランチタイム。ケリーはサーターアンダギーをすごく気に入ったそうです。「This is okinawan doughnut.」と言ったら、「Delicious!」と。英語が通じたみたいで良かったです。その後も私もサーターアンダギーを好きだといったので、彼がおそそ分けをしてくれました。2人並んでサーターアンダギーを頬張りました。美味しかったし、嬉しかったです。

 

 その後は4時間目、数学の授業でした。私は今三角関数を勉強しています。昨日は「加法定理の応用」私は前回、前々回と放送の大会のため授業を受けていないので、完全に積んでいました。しかも横にはアメリカ人。これをどう英語で説明しろと?

 困り果てていると数学教師がこんなことを言う。「思うんだけどさ、僕達がアメリカに行った時は英語を話すわけでしょ。だからさ、相手が日本語話したらいいさ」と。理屈はわかるが、こりゃ無いよ。だって、私達中1からずっと英語を習っているじゃんか。

 その瞬間もずっと横でつまらなそうにしているケリー。何と言うか、申し訳ない。そして冒頭の写真に至るわけです。イッツ筆談。筆談なら英語だってなんだって通じます。丸されているのが、彼の字です。ノートを改めてみると、私の頑張っている感が分かります。はじめの頃はちゃんと「第2章 加法定理」とノートをとっているのに、即効でそれどころじゃ無くなっています。

 結局その後は、クラスにいたかけはしメンバーの助けでケリーは違う問題を解くことに。いつもは交わらないメンバーでしたが、彼は実は英語が出来る。そして優しいことが判明。高校入学から1年と少し。彼と初めて話し、彼の良さに気づきました。人は困難を共にすると理解が深まるんですね。

 ところでパートナーのケリー。数学が得意なようです。ということで数Ⅱの教科書を解いてもらいました。でも、何か間違っている。次に数Ⅰの教科書を貸しました。その間もどんな問題だって解けると主張しています。でも、やっぱり間違っている。最後の最後で知ったのは、ケリーが習ったのは1次関数までということ。なるほどね。

 

 その後も5時間目、6時間目、7時間目と続きましたが、飽きてきたので割愛します。

 

 今回学んだことは多くあります。

まず、英語をもっと学ぼうということ。なんだかんだ言っても、日本語だけの世界は狭いです。英語は世界を広げるために欠かせないといえるでしょう。

 それとは反対に、英語よりも大切なことは気持ちだということも学びました。私が昨年行ったラオスの方がコミュニケーションがとれたってどういうこと?ということです。きっとお互いがゆっくり丁寧に相手のことを汲み取ることが何よりも大切なのでしょう。

 

 それから、クラスのかけはしメンバーの優しさにはビックリしました。教室の端でいろいろとこじらせっちゃっている高校生活を送っている私と、何かしら騒いでいる彼。こういう機会がないとお互いの良さには気づかないものです。

 

 ぐだぐだ文句ばかりを書き連ねましたが、昨日は楽しかったです。本当です。11月にはケリーの高校に行くのですが、とても楽しみです。

 

 編集後記

ケリーが「数学得意!何だって解ける」と言っていたことを考えると、私も赤点とったくらいで数学に対する苦手意識を持つ必要はないのかなと思いました。