今日は、感激した。衝撃だった。驚愕だった。
始まりは放課後の理科室だった。今日の私は、卒業前に理科雑誌『ニュートン』を読んで無かったことを思い出し、先生に無理を言って理科室に残っていたのだ。
そこで読んだものが、「0の世界」と題した特集。
内容としては「0」の歴史から、「0」の応用、更には宇宙にまで広げていた。やはり難しい箇所はいくつかあり、完璧に理解したとは言いがたいが、それでも興味そそる面白い内容だった。
一番衝撃を受けたのが、この式。
0÷1=a
1=a×0=0
つまり、0は1でもあるのだそう。
だから、
0÷2=a
2=a×0=0
でもあり、
0÷100=a
100=a×0=0
でもあるのだ。もし、この式が成り立つのならば、「0」とは1であり、2であり、100であるのだ。
びっくりした。理科室で一人、興奮の渦にいた。しかもこれは、馬鹿ゆえの妄想ではない。本当にこの式が雑誌の中で紹介されていたのだ。すごい。
この式のあとには、こんな説明があった。
「数学では0の割り算はしてはならないとなっている」
どうして、0の割り算はしてならないのだろうか?このようにして、「0」という数字が矛盾していくからなのか?それとも、何か意味があるのだろうか?
理科室の黒板の前で計算式を立ててみても分からない。もう一度、特集を読みなおしても分からない。どうしてだ?アタマをフル回転サせたというのに、分からない。どうして?疑問が大爆発しそうになった私は、直ぐ様数学の先生のもとへ走った。
先生は高校入試に向けた補習を組んでいたけれど、私に付き合ってくれた。
まず、上の式の計算は正しいと認めた上で、
私の「0とは記号ですか?数字ですか?」
という問いには「数字だな」と、
また、「0には矛盾が生じていると言えますか?」
の疑問に対しては「それはない」と厳しく言った。
肝心の「0とはなんですか?」という問いは、うまいことはぐらかされた気がするが、(0とは無限であり、なんでありとは言っていたような……)中学以上の学校では習うと教えてくれた。
勉強は楽しみだ。この件だけれはなく、私は全教科において「高校や大学で学んだらいいさ~」とはぐらかされているから余計に楽しみだ。
でも、あえて言いたい。「高校まで待てない」と。先生はあの後、すぐに補習授業に戻ってしまったので、質問を続けることができなかったが、私は尚も「0」に夢中だ。
0×1=0
や 0+1=0
また、 1-0=0
という式の上では「0」は無の存在なのだろうか?
そういえば、小学校の算数では「0個のりんご」という言葉があった。何となく意味は分かるのだが、それでもなにかがおかしい。
また、0は分数に登場しない。0.1という数も不確かで、私にはよくつかめない。
知りたくて仕方無いことがたくさんあるのに、私は何も分からない。知りたい。どうしても分かりたい。しかも先生の話から汲み取るに、私の問に答えはあるのだ。そのことがとてつもなく悔しくてたまらない。
編集後期
明日も理科室に篭ろうではないか!と決意を固める私であった。