きのこのこの雑記帳

どきどき台湾留学2018.9.1~ 沖縄と民俗と言葉と本と

6月2日 昼過ぎからの基隆小旅行

 

 

 夜中、日本の大学の友達と電話した。

 酔っ払った勢いで、誰かと話したかったのだ。

 友達にもうすぐ帰ってくるんだね、といわれる。帰ったら、行きたいところを二人で考えた。今は台北の良さばかり目につくけれど帰ったって、楽しみはちゃんとあるんだよな。

 友達と明け方まで喋っていたものだから、当然朝は起きられなかった。当然すぎる。沖縄のことを考えながら眠ったから、沖縄そばがどうしても食べたくなっていた。3月の帰省で買ったカップ麺の沖縄そば開封する。鰹出汁の香りが広がる。

 

 午後は基隆の和平島(社寮島)へ。出発が遅くなってしまった。現地にどれだけ滞在できるかはわからない。けれども、遠くへいきたくなったのだった。難しいことなど考えずに、ただ遠くへ行きたい時ってあるでしょ。

 和平島(社寮島)は沖縄にゆかりのある場所だから、やっぱり沖縄のことを考えていたい気持ちなのかもしれない。

 

 基隆は想像以上の港町だった。実は基隆に行くのは初めてだったのだけれども、よく耳にする地名であった。日本の大学で受けていた民俗学の授業では、基隆の中元節の話を。何度も読んだ日本統治時代の台湾で生きた人たちのライフストーリー。その中では基隆が台湾への玄関口であった。

 

 私の祖母は沖縄戦の時、台湾に疎開している。祖母も基隆へ来たのだろうか。祖母が最後に見た台湾は、やはり基隆だったのだろうか。

 

 台北から1550番のバスで基隆駅へ行ったのち、101番のバスへ乗り換えて和平島へ。今日の目的は、和平島にある琉球漁民慰霊碑だった。琉球漁民慰霊碑は和平島公園の中にある。

 和平島は沖縄の漁師が多く暮らしていたエリア。最盛期には600人ものが暮らしていたそう。そこで沖縄の漁師が造船、漁法などを伝えたと言われている。台湾人と沖縄の人、それぞれ助け合いながら生きていたようだ。

 

 現在、琉球人の集落はない。琉球人やオランダ人、スペイン人、ケダカラン族(台湾の平埔族の1つ)の骨を祀った祠がある。うえの琉球漁民慰霊碑も、台湾人が骨を拾って手厚く祀ってくれたことに対する感謝を込めて建立されたらしい。

 

 その祠には、土地公(福徳正神)が祀られていた。一緒に「后土」という文字も見え、私はこれにいたく感動してしまった。「后土」とはお墓の守り神である。沖縄本島において、土地公は土帝君というかたちで受容されているが、后土は受容されていない。ずっと見たいとは思いつつ、お墓の神さまなのでなかなか機会がなかった后土。これを見られただけでも、かなり価値があった。

 琉球人をはじめとする遺骨を祀る、万善祠。一見すると、台湾の街なかにある他の道教寺院と同じように見えるが、丁寧に観察していると、やはりそこは「お墓」なのだと気付かされる。

 

 ちなみに琉球漁民慰霊碑の後面には、中国語と日本語で説明書きがなされていた。中国語では「琉球漁民慰霊碑」とされているものが、「琉球ウミンチュの碑」と題されていたことも記しておきたい。この碑を建立する際にどのような議論がなされたかは分からないが、「慰霊」という言葉にはそれに関わる多くの思想がある。中国語と日本語で像の名前が異なっていること、そして日本語の方であえて「慰霊」という言葉を省いたのであれば、やはりそれは特筆すべきことのようにも思う。

 

死者たちの戦後誌―沖縄戦跡をめぐる人びとの記憶

死者たちの戦後誌―沖縄戦跡をめぐる人びとの記憶

 

 

 琉球漁民慰霊碑がある和平島公園は、しっかり整備されており、想像以上に楽しい場所でもあった。

 

 
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学生40元、一般80元のチケットを購入する必要がある。


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 崖の上に立つ東屋。潮の香りと、波の音がたまらない。

 
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 基隆といえば、野柳地質公園が有名だけれども、こちらの地質も面白い。キノコみたいな岩がたくさん。

 


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 これ何だと思う?

 自然を活かしたプール。通りで砂浜が見当たらないのに、やたら水着や浮輪を売っていると思った!なかなか古風で楽しい。

 

 
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 小さい子向けの水遊びエリアもアリ。ちゃんと監視員も居る。暑かったから、子供に混じって水遊びしちゃった。水が冷たくて気持ちいい。タオルを持ってないことに気づいたのは、すぺて終わった後でした。

 

 夜は基隆廟口夜市へ。こちらの夜市、台湾人からも評判がよく、一度行ってみたいと思っていたのだ。

 
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 そして評判通り、かなり美味しい夜市でした。これは確かに全体のレベルが高い。


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「天麩羅」と言われるさつま揚げ。これが本当に美味しい!やはり港町であるからかしら?

 
 マンゴー牛乳を飲みながら、バスに揺られる。1時間もしないうちに台北へ。
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 すごく楽しい1日だった。私は「沖縄」という軸を持って、台湾を見ようとしている。沖縄の人が台湾でどう生きたのか、とか、沖縄と台湾原住民の民俗的なつながり、沖縄と台湾の草の根の交流など興味のあることは多い。普段生活している台湾、一歩踏み込むと思わぬ発見があるのが面白い。

 

 そして、ただ面白がるだけではなく、当時の沖縄の人に寄り添うとか、「日本の地方としての沖縄」を超えた沖縄を描くとか、そういうことができたら、と思う。その為にはやはり日々足を動かして、本を読んで、記述を重ねるしかないのだ。

 

 

モモトVol.17

モモトVol.17

 

 『モモトvol.17』の台湾特集に基隆と沖縄のこと、和平島の話が掲載されている。台湾と沖縄のつながり、という視点で発見がたくさんある雑誌。

 台湾留学が決まった際に手にし、留学先にも持ってきた一冊。