更新がまた開いてしまったけれど、一度始めたシリーズなのでしっかり書き切ってしまもうと思う。
教員免許(国語)の取りこぼし単位を通信制大学(佛教大学)の科目等履修生になって取った話。2020年のことなので、今からちょうど2年前。大学院修士課程の1年生だった。
9月の月末にレポートの合否がわかり、そのまま10月第一土日で試験だった。
もう科目等履修生期間が終わったので、はっきり書いちゃうのだけれども、私は佛教大学で科目等履修をした。そもそも国語教職に対応している通信制大学が少なく、選択肢も少ないのだけれど、私がそのなかでも佛教大を選んだのにはテスト方式が魅力的だったことが挙げられる。
佛教大のテストは、定められた2日のうちに定められた回答をつくり、提出するというもの。なんだ、全然レポートと変わらないじゃんって思った。さらに私は暗記形式のテストよりレポートの方が得意だったので、こっちの方が都合良かった。
私が受講していたのは、国語教育法に関わる2科目8単位。よって、テストも2科目だった。
私は特にテスト対策はしなかった。理由として、忙しくてそれどころではなかったことと教育実習を終えたばかりだったので一定の自信があったことが挙げられる。また通信制大学の場合、試験は期間内(大学によって異なるけれど、1年の科目等履修生なら2月末までなど)なら複数回受験できるため、「今回の試験がダメだったらその時対策を考えよう」と思ったのだった。
試験当日は普段より早めに起床し、佛教大学のサイトで試験問題を確認。その上でパソコンを持って、自分が在籍している大学図書館に向かった。佛教大のテストがレポート方式であるため、当然ながら書籍を参照することは許されるし、寧ろ何かを参考にすることが前提とされていると考えたためである。もちろん、テストの回答では参考文献リストも書いた。
大学図書館でなくとも、近くの図書館等が利用できるのであれば、この方法はとてもおススメ。そして、できれば大学図書館に行けたらそれがベストだと思う。何故なら、大学図書館には教育系雑誌が置いてあるし、特に国語教育の実践がたくさん掲載されている雑誌は大変参考になるから。あと教育学部の学生が利用できるようにと多くの教科書が置いてあると思うので、レポートの構成は組み立てやすくなると思う。レポート提出時で「指導案を書く」課題が出ているから、該当科目の教科書を手に入れる必要があるのだけれども、自分に合った教科書を見比べるのも楽しいし、良い機会になった。*1
今は新型コロナウイルスの流行に伴って、多くの大学が学外者立ち入り禁止になっているけれど、通常時であれば大学図書館は地域に開放しているので、通信制大学生も地元の大学をうまく活用できたら良いと思った。もちろん、佛教大の通信課程であるということは佛教大の図書館も利用可能なので、自分が関西在住であったら利用したかもしれない。
2年も前の出題であることと資料参照可の論述系の試験なので、試験問題を書いてしまうと、1科目目の出題は以下の通り。
1平成29、30年度版、中学校・高等学校学習指導要領の内容に基づいた中等教育における「読書」の指導について。
2)中学校・高等学校の目標や内容の共通点・相違点
3)「読書」の指導にあたって大切なこと、留意すべきこと
読書教育は国語教職のなかでも最も関心を持っている箇所でもあるので、嬉々として書いた。試験の出題傾向としては、指定教科書で取り上げられているトピックがベースとなっていて、そこからさらにレポートでは触れられてなかった部分であった。満遍なく理解できていますか?って問われているようだった。ここに回答を載せることはしないけれど、私も突飛なことは書かず、教科書と学習指導要領解説を丁寧に読み込んで回答を作成した。レポートと異なり字数制限がなかったのもやりやすく、3200字書いた。95点。
そして2科目目は以下の通り。
平成29年度版中学校学習指導要領に基づいた授業について、自分であればどの様に展開するのか説明する。
1)生徒のどのような力の育成を目指すのか
2)具体的な展開案
こちらは端的に言えば指導案が求められている。中学校学習指導要領ということで、中学校の教科書をベースに授業展開を考える必要があるので、やはり中学・高校両方の教科書が手元にある必要があると思う。
私は中学3年生を対象として、魯迅の『故郷』を取り上げた。定番教材なので、自分自身が教育を受けた経験があること、雑誌等に掲載されている実践も豊富であることがその理由。また同時に思い入れがある作品だったというのも大きい。
あくまでもテストとしての指導案なので、勢いで展開が思いつくものの方が書きやすいと思う。こちらも字数制限がないので、思いっきり書いて5000字。95点だった。
後日結果が出て、2科目とも95点だったので無事に単位取得。
科目等履修生としての身分は3月末まであったけれど、取るべき単位は取ったので、その後は何もせず。2021年3月に「身分が切れましたよ」的な通知が実家に届いた。
すごくあっけなかったのだけれども、一度諦めかけた国語の教員免許が取得できたことに変わりはなく。通信制大学が教育の機会を広げてくれていることに違いはないだろう。
なお、免許申請はとても面倒くさかった。
大学卒業と同時に免許を得る場合は、大学が一括申請してくれるものだけれども、科目等履修生の場合はそうはいかない。自分の住んでいる都道府県の教育委員会が求めるフォーマットで、様々な書類を揃えて(戸籍とかも必要)、さらに手数料として収入印紙を購入する必要がある。私の場合は、中学国語・高校国語・高校地理歴史の3枚分の教員免許状が必要だったため、1万円くらいの出費となった。
本学籍の大学とは別に科目等履修生をしている場合、ややこしくなるのが大学の卒業証明書を取ったうえで、複数の学校にまたがって「学力に関する証明書」を発行する必要があることである。この発行方法も必要時間も、またフォーマットも学校によって異なるので色々と早めに動く必要がある。
私は進路が大学院博士後期課程への進学と決まっていたこともあって、腰が重く、ようやく申請したのは2021年の年度終わりだった。でも免許の更新制も廃止されるとの話だし、早めに申請しておいて損はないと思う。
ここまで書いておきながら、私はやっぱり国語の先生になる可能性は低いと思う。大学入学時点ではそれなりに高い可能性をもって教職を取っていたけれども、学んでいく過程で国語よりも地理・歴史に、さらにやっぱりできれば、沖縄の民俗という専門性をもって仕事ができれば、という思いが強くなっている。
それでも教員免許を取って良かったと思う。教員免許自体もそうだけれども、国語の教員免許を取るぞと決めたからこそ、日本文学、中国文学、日本語学と幅広く学ぶことができた。沖縄で生まれ育ち、そもそも自分にとっての「国語」とは一体何か分からないところがあるのだけれども、大学での学びはそこで考えるだけの余地を与えてくれたと思う。
それに、教員免許という目標をもって通信制大学に入学したことで、科目等履修生という方法を知れたことも大きい。新型コロナウイルスと家庭の都合で2021年は沖縄に戻って修士論文を書くことになったのだけれども、その際図書館利用という面でも、その他の面でも、沖縄の大学で科目等履修生をやれたことが大きかった。その方法を知っていたのはやはり佛教大での経験によるものだった。
*1:学類時代に取った国語教育法の授業ではそれこそ国語の教科書を作る取り組みなどがあって、すごく大変だったけれど、その分楽しかった思い出。教科書に載せる作品の選定、編集方針決め等々を経験すると、教科書って思った以上に作成者の思惑が反映されていることにも驚いたのだった。